旧武生市と旧今立町が合併して誕生した越前市の歴史は大変古く、西暦500年頃には存在しており、北陸地方の政治・経済・文化の中心地として栄えてきたまちです。平安時代には「源氏物語」の作者である紫式部が生涯でただ一度、京都を離れ子供時代を過ごした地でもあります。戦国時代には、新田義貞や斯波高経、織田信長など名だたる武将が争奪し合った魅力ある地であり、織田信長の家臣である前田利家、佐々成政、不破光治の府中三人衆が越前を治め、現在もその時代を偲ばせるゆかりの史跡が数多く残っています。

越前市は昔からモノづくりが盛んな地域で、「越前和紙」「越前打刃物」「越前箪笥」などの伝統的工芸品の産地となっています。近年は電子・自動車・家電部品産業やニットアパレル産業などが盛んで、福井県下第一の製造品出荷額等を誇る「ものづくり都市」として発展を続けています。
また、越前市では歴史的遺産を継承した、古い町並や建物を活かしたまちづくりが進められており、白壁の蔵が立ち並ぶ「蔵の辻」と呼ばれる場所や、大正から昭和初期に建てられた木造の店舗や蔵を再生し、伝統的建設物を活かした街並があります。「寺町通り」と呼ばれる京町界隈は、国分寺や総社大神宮をはじめとする、多くの由緒ある寺社仏閣や昔ながらの町屋が点在していて、その落ち着いた風情がほっと心を和ませてくれます。

約1万本の菊花や、テーマに沿って菊で飾った人形や造形物が見られる「たけふ菊人形」は北陸の秋の一大イベントとして親しまれており、毎年県内外から多くの観光客で賑わっています。「紫式部公園」は広大な敷地に平安時代の寝殿造り庭園を再現した公園で、金箔で仕上げられた美しい紫式部像が立っています。
伝統的工芸品を知る所として、和紙の里通りには紙すきができる「パピルス館」や「紙の文化博物館」「卯立の工芸館」があります。刃物づくりができる「タケフナイフビレッジ」などがあります。福井県では、そばと言えば大根おろしとつゆを添えただけのシンプルな「おろしそば」が一般的ですが、越前市の代表する名物です。